約 30,347 件
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/4422.html
-接触編-前編 エンドレスエイト103回目 しん・せかいに君と 涼宮ハルヒのユカイなハンバーガー 涼宮ハルヒの死体 涼宮ハルヒの運命(Fate×ハルヒ) 長門有希の我侭 実は8.365秒 サマー・デイズ(微鬱注意) 大きくてちいさな日々 1 2 3 その技の名は 多分SOS団設立時 【『CLOVER』】 ボディーガード (古泉×キョン妹) 涼宮ハルヒのOCG(ハルヒ×遊戯王5D`S OCG) 絶体絶命でんぢゃらすじーさん vs SOS団 みんなSS大好きだよ保守 朝倉涼子迷走記 みくるの反抗(仮) (※グロ・BAD END注意) SOSvsSOS (性転換「系」) 名も無き詩(ハルヒ×サイレントヒル) ハルヒ「ひぐらしつかまえた!」 日常的なSOS団。非日常もほんのりと。 涼宮ハルヒの激流 涼宮ハルヒの静寂 畏怖・涼宮ハルヒの静寂 (クロス) 君誰大会 とある古い森で 鶴の国 三千世界にいた 涼宮ハルヒと魔術 ハルヒ「キョン、ちゃんと私を殺してよね」 (純愛・グロ) 涼宮ハルヒと邪神 (クロス) 戦士は笑う最期まで 準星迄(TS) 涼宮ハルヒのビックリ 彼女になった彼の願望 ~おいしいご飯~ 涼宮ハルヒの驚愕γ(ガンマ) 涼宮ハルヒの遭遇 桃から生まれた―― 竹取物語 水晶の夜
https://w.atwiki.jp/kskr/pages/18.html
よろしいならば参加者だ ※作品名は外部サイト「wikipedia」の該当部分へリンクしています。 6/6【涼宮ハルヒの憂鬱】 ○キョン/○涼宮ハルヒ/○朝倉涼子/○キョンの妹/○古泉一樹/○朝比奈みくる 6/6【キン肉マンシリーズ】 ○キン肉スグル/○キン肉万太郎/○悪魔将軍/○ウォーズマン/○アシュラマン/○オメガマン 6/6【モンスターファーム~円盤石の秘密~】 ○佐倉ゲンキ/○モッチー/○スエゾー/○ホリィ/○ハム/○ナーガ 6/6【魔法少女リリカルなのはStrikerS】 ○高町なのは/○スバル・ナカジマ/○フェイト・T・ハラオウン/○セイン/○ノーヴェ/○ヴィヴィオ 5/5【ケロロ軍曹】 ○ケロロ軍曹/○日向冬樹/○タママ二等兵/○ドロロ兵長/○ガルル中尉 4/4【スレイヤーズREVOLUTION】 ○リナ=インバース/○ゼルガディス/○ゼロス/○ラドック=ランザード 4/4【新世紀エヴァンゲリオン】 ○碇シンジ/○加持リョウジ/○惣流・アスカ・ラングレー/○冬月コウゾウ 4/4【強殖装甲ガイバー】 ○深町晶/○アプトム/○ネオ・ゼクトール/○リヒャルト・ギュオー 4/4【砂ぼうず】 ○水野灌太(砂ぼうず)/○小泉太湖(小砂)/○川口夏子/○雨蜘蛛 3/3【となりのトトロ】 ○トトロ/○草壁サツキ/○草壁メイ 48/48
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1134.html
妹「キョーンくん!朝だよー!」 キョン「・・・あー」 妹「ほらー!早く起きてー!」 キョン「いって!わかったわかった!」 妹「はぁやぁくー!」 キョン「ふぁー・・・」 キョン(長門のこと考えてて・・・よく寝れなかったな) 妹「キョン君?目真っ赤だよ?」 キョン「あー、なんでもない。それよりほら、朝飯だ」 妹「うんっ!」 学校 キョン「うーす、ハルヒ」 ハルヒ「・・・」 キョン(また機嫌悪そうだな・・・いつものことか) ハルヒ「・・・ねぇ、キョン?」 キョン「ん、何だ?」 ハルヒ「有希、いつになったら帰ってくるんだろ」 キョン「長門か?確か2、3ヶ月って言ってたぞ」 ハルヒ「・・・ふーん」 キョン「なんだよ突然」 ハルヒ「う、うるさいわね。あんたには関係ないのっ!」 キョン「っと、はいはい」 ハルヒ「・・・ふんっ」 ガラッ みくる「はぁはぁはぁ・・・キョ、キョンくぅん!」 キョン「・・・朝比奈さん?」 パタパタ みくる「ひぃひぃ・・・」 ハルヒ「ちょ、ちょっとみくるちゃん!?こんな時間にどうしたの?もう授業始ま・・・」 みくる「と、とにかくキョンくん!一緒に来てください!」 キョン「へ?なんで俺が・・・ってて!」 みくる「はやくしてくださぁい!」 キョン「わ、わかりましたからそんなに引っ張らないで下さいよ!」 ハルヒ「みくるちゃん!?どういうこと・・・」 バタン ハルヒ「・・・なんなのよ」 みくる「はぁはぁ・・・」 キョン「えーと、なんですか?こんな所に連れ出して」 みくる「た、大変なんですよぉ!緊急事態です!」 キョン「へ?緊急事態?」 みくる「その、朝倉さんが・・・」 キョン「え?」 みくる「だから朝く・・・わわっ! キョン「あ、朝倉!?ちょっと、今何て言いました!?」 みくる「ひっ!ちょっと落ち着いてキョンくん・・・ひゃ!」 キョン「朝倉が何なんですか!?」 みくる「えと、その・・・こっちに戻ってきたみたいなんですよぉ!」 キョン「な・・・マジですか!」 みくる「マジです・・・大マジです」 キョン「なんで朝倉が・・・」 みくる「前に長門さんから話は聞いてました・・・キョンくん殺されそうになったって・・・」 キョン「その情報は誰から?」 みくる「えと・・・その、禁則事項ですぅ・・・」 キョン「アレですか?未来の偉い人とかそんなのからですか?」 みくる「そ、そんなところです・・・」 キョン「くっそ・・・今朝倉がどこにいるかわかりますか!?」 みくる「それはちょっと・・・ってキョンくん!?どこ行くんですか!?」 キョン「朝比奈さんは古泉にこのことを伝えてください!俺は長門のところに行って来ます!」 みくる「そんな!一人じゃ危険すぎますよ!キョンくん!!」 キョン「くっそ!」 キョン「はぁはぁはぁ・・・」 ピンポーンピンポーンピンポーン キョン「くっそ・・・出ろよ!長門!」 ガチャ キョン「!」 長門「・・・」 キョン「長門!俺だ!」 長門「何」 キョン「とりあえず中に入れてくれ!」 長門「・・・なぜ」 キョン「いいから!」 長門「・・・」 ガーッ キョン「はぁはぁ・・・」 長門「何」 キョン「あ、朝倉はこなかったか!?」 長門「・・・朝倉」 キョン「そうだよ、朝倉涼子! 長門「・・・来てない」 キョン「そう・・・か・・・ハァー・・・」 長門「朝倉涼子は消えた。私が情報連結を解除したはず」 キョン「朝比奈さんがな、戻ってきたって」 長門「・・・朝比奈みくるが」 キョン「ああ・・・理由はよく分からないけどな」 長門「・・・理由」 キョン「ふー、とりあえず安心したよ・・・無事でよかった」 長門「・・・」 ヴーヴー キョン「なんだ?」 長門「・・・電話」 キョン「あ、ああ。俺か」 パカッ キョン「なんだこの番号?」 長門「・・・っ!」 キョン「もしも・・・」 長門「出ちゃダメ」 キョン「へ?」 ?「・・・ふふ、見ーつけた」 キョン「!」 バチッ! キョン「いでっ!」 長門「・・・特定された」 キョン「な、なんだよ突然」 長門「・・・来る」 キョン「来る?何が来r」 ドォォォオオオォオオオンッ!! キョン「うおぉぉぁっ!」 長門「っく・・・」 オォォォ・・・・ 長門「・・・なぜここへ」 朝倉「ふふ、お久しぶりね。長門さんに・・・キョン君♪」 5話
https://w.atwiki.jp/animerowa/pages/243.html
**【オープニング】 NO. タイトル 作者 登場人物 00 オープニング ギガゾンビ、野比のび太、ドラえもん、源静香、富竹ジロウ、古手梨花 【深夜】 NO. タイトル 作者 登場人物 01 魔術師少女リリカルりん ◆Bj..N9O6jQ 氏 遠坂凛 03 彼女の最適解 ◆qwglOGQwIk 氏 古手梨花 04 哀しい少年feat無邪気少年 ◆jzEmafGgFA 氏 ヘンゼル、野原しんのすけ 05 Ride on shooting star ◆B0yhIEaBOI 氏 園崎魅音、ストレイト・クーガー 06 ルパン三世の憂鬱 ◆9NAb4urvjA 氏 ルパン三世、涼宮ハルヒ 07 竜殺し ◆.9Q8uilou6 氏 北条沙都子、佐々木小次郎 08 愛する者の為の騎士 ◆u6VrQNC6KE 氏 ソロモン・ゴールドスミス、蒼星石 09 信頼に足る笑顔 ◆7jHdbD/oU2 氏 由詑かなみ、鶴屋さん 10 普通の人間にしか興味はない ◆FbVNUaeKtI 氏 キョン、トウカ 11 信じること ◆WzpMn05TJA 氏 前原圭一、竜宮レナ 12 守護者 ID VNbKIF+c アーチャー 13 北方の少年と南方の娘 ◆jC6t70h.xo 氏 ゲイナー・サンガ、レヴィ 15 失われた時を求めて ◆k97rDX.Hc. 氏 翠星石、剛田武 16 勝利すべき黄金の剣 ◆/XG/ITgUpI 氏 セイバー 17 海より深い父の愛 ◆VhFeOeiffk 氏 先生、野原ひろし 18 お茶会inロワイアル ◆wNr9KR0bsc 氏 君島邦彦、鳳凰寺風 19 喋る豚!ぶりぶりざえモン! ◆UJlsurBQPM 氏 石田ヤマト、ぶりぶりざえもん 20 正義という名の覚悟 ◆bbg7GQM68o 氏 劉鳳 21 闇に包まれた未来 ◆pKH1mSw/N6 氏 朝比奈みくる、カルラ 23 ドラえモンアドベンチャー 漂流? 殺戮の島! ◆I0.ou5lqlA 氏 八神太一、ドラえもん 24 「うん、それ無理」 ◆LXe12sNRSs 氏 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、朝倉涼子 25 飢えた獣と魔法少女 ◆KZj7PmTWPo 氏 カズマ、高町なのは 26 鋼鉄の咆哮 ◆XkQ1qdE.bE 氏 ヴィータ、アレクサンド・アンデルセン 27 Fact or Fiction? ◆QcxMJGacAM 氏 フェイト・T・ハラオウン、長門有希 28 少年の決意 ◆WgWWWgbiY6 氏 平賀=キートン・太一、野比のび太 29 少女の幸運と少女の不幸 ◆FbVNUaeKtI 氏 古手梨花、アルルゥ 30 薔薇の風 ◆Bj..N9O6jQ 氏 シグナム、真紅 32 不死身のドラキュリーナひとり ◆C1.qFoQXNw 氏 セラス・ヴィクトリア 33 最速×騎士×被害者 ◆rsdlcw3Jk6 氏 獅堂光、ストレイト・クーガー、園崎魅音 34 STALKER ◆B0yhIEaBOI 氏 龍咲海、タチコマ、水銀燈 38 しっぽの生えた薬師の少女 ◆g3BDer9VZ6 氏 エルルゥ 39 「悪人」の正義 ◆CantuWVYnk 氏 次元大介 40 たのしい遊園地 ◆WgWWWgbiY6 氏 峰不二子、ウォルター・C・ドルネーズ 42 請負人 ◆C0vluWr0so 氏 ゲイン・ビジョウ 44 怯える少年 ◆/1XIgPEeCM 氏 桜田ジュン 49 決意の言葉 ◆wlyXYPQOyA 氏 音無小夜、真紅 50 飛び込んで行け、夜へ ◆.9Q8uilou6 氏 キャスカ 51 淵底に堕ちた鷹 ◆KZj7PmTWPo 氏 グリフィス 66 長門有希の報告 ◆S8pgx99zVs 氏 長門有希 【黎明】 NO. タイトル 作者 登場人物 02 子供と大人 ◆S8pgx99zVs 氏 銭形警部、骨川スネ夫 14 奥様は6インチの魔法少女! ◆tC/hi58lI. 氏 野原みさえ、佐々木小次郎、ガッツ 22 サムライ、もえる ◆v3IQLoJSTY 氏 石川五ェ門、ロベルタ 31 reckless snow wind ◆.9Q8uilou6 氏 タバサ、アーカード 35 静謐な病院 ◆CFbj666Xrw 氏 八神はやて、銭形警部、骨川スネ夫 36 見えない恐怖 female gorilla ◆5VEHREaaO2 氏 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、草薙素子 37 夜空の再会 ◆lbhhgwAtQE 氏 井尻又兵衛由俊、野原ひろし 41 経験過多、経験不足 ◆Bj..N9O6jQ 氏 フェイト・T・ハラオウン、カルラ 43 不思議の国のバトー ◆S8pgx99zVs 氏 バトー、朝比奈みくる 45 吸血鬼の倒し方 ◆jC6t70h.xo 氏 ロック、アーカード 46 弓兵と使い魔、そして皇 ◆FbVNUaeKtI 氏 平賀才人、アーチャー、ハクオロ 47 RESSRRECTION LOUISE~即席のスリーアロー~ ◆hqsGYwUFfw 氏 衛宮士郎、草薙素子、ルイズ 48 復讐の道を行く男、愛に生きる女 ◆qwglOGQwIk 氏 ガッツ、野原みさえ、北条沙都子 52 「某としたことが……」 ◆LXe12sNRSs 氏 キョン、トウカ 53 approaching! ◆XnCOMfEOg. 氏 カズマ、高町なのは、鶴屋さん 54 従わされるもの ◆lbhhgwAtQE 氏 ルパン三世、涼宮ハルヒ、アルルゥ 55 ムーンマーガレット ◆B0yhIEaBOI 氏 トグサ、セラス・ヴィクトリア 56 嗤うベヘリット ◆tC/hi58lI. 氏 石田ヤマト、ぶりぶりざえもん、グレーテル 57 有機生命体の耐久度調査 ◆Bj..N9O6jQ 氏 ハクオロ、平賀才人、朝倉涼子 58 首二つ ◆jFxWXkzotA 氏 朝倉涼子 60 薬師は見た? 血で血を洗う商店街! ◆lbhhgwAtQE 氏 エルルゥ 61 神父 アレクサンド・アンデルセン ◆S8pgx99zVs 氏 のび太、キートン、スネ夫、銭形、はやて、アンデルセン、ロベルタ 62 敵はどこだ ◆4CEimo5sKs 氏 前原圭一、竜宮レナ 63 ソロモンの指輪 ◆nSPmc44fPU 氏 ソロモン・ゴールドスミス、蒼星石、次元大介 64 無題 コこロのアリか ◆wNr9KR0bsc 氏 セイバー、ヘンゼル、野原しんのすけ 65 彼女の死を乗り越えて ◆7jHdbD/oU2 氏 剛田武、翠星石 67 悲劇 ◆wlyXYPQOyA 氏 ヴィータ、八神太一、ドラえもん 68 朧月夜 ◆WgWWWgbiY6 氏 アーカード 70 ギーガ鉄道の夜 ◆v3IQLoJSTY 氏 鳳凰寺風、君島邦彦 71 人ならざるもの達の午前 Water Requiem ◆5VEHREaaO2 氏 タチコマ、水銀燈 72 最悪の軌跡 ◆CFbj666Xrw 氏 シグナム、野原ひろし、井尻又兵衛由俊 74 峰不二子の憂鬱 ◆S8pgx99zVs 氏 峰不二子 75 洗濯⇔選択 ◆FbVNUaeKtI 氏 キョン、トウカ 77 misapprehension ◆7jHdbD/oU2 氏 劉鳳、真紅 81 貪る豚 ◆/1XIgPEeCM 氏 石田ヤマト、ぶりぶりざえもん 86 「速さ」ってなんだろ?「速さ」ってなぁに? ◆wNr9KR0bsc 氏 ストレイト・クーガー、園崎魅音 【早朝】 NO. タイトル 作者 登場人物 59 「友達だ」 ◆LXe12sNRSs 氏 フェイト・T・ハラオウン、カルラ、古手梨花 69 何だってんだ ◆vScE74qUDM 氏 野原みさえ、北条沙都子、ガッツ 73 老兵は、 ◆UJlsurBQPM 氏 ウォルター・C・ドルネーズ、グリフィス 76 「夢を見ていました」 ◆LXe12sNRSs 氏 カズマ、高町なのは、ゲイナー・サンガ、レヴィ 78 死と少女と ◆TIZOS1Jprc 氏 フェイト・T・ハラオウン、タチコマ 79 これが薬師の選択です ◆KZj7PmTWPo 氏 ロック、エルルゥ 80 遠坂凛は魔法少女に憧れない ◆2kGkudiwr6 氏 遠坂凛、水銀燈 82 暴走特急は親友の夢を見るか ◆lbhhgwAtQE 氏 獅堂光 83 ある接触 ◆M91lMaewe6 氏 キャスカ、佐々木小次郎 84 現実の定義 Virtual game ◆B0yhIEaBOI 氏 草薙素子、ドラえもん、八神太一、ルイズ、衛宮士郎 85 「無事でよかった」 ◆tC/hi58lI. 氏 野原しんのすけ、ヘンゼル 87 雨は未だ止まず ◆q/26xrKjWg 氏 ゲイン・ビジョウ、獅堂光 88 嘘と誤解と間違いと ◆CSROPR1gog 氏 遠坂凛(カレイドルビー)、水銀燈、野比のび太、骨川スネ夫、シグナム 89 魔女は夜明けと共に ◆FbVNUaeKtI 氏 古手梨花、剛田武、翠星石 90 回天 ◆wlyXYPQOyA 氏 桜田ジュン、朝倉涼子 91 「すべての不義に鉄槌を」 ◆LXe12sNRSs 氏 シグナム、ロベルタ 92 史上最大の部活 ◆lbhhgwAtQE 氏 園崎魅音 93 Unknown to Death. Nor known to Life ◆2kGkudiwr6 氏 アーチャー、アーカード 94 井の中のふたり ◆M91lMaewe6 氏 前原圭一、竜宮レナ 95 Is he a knight? ◆FbVNUaeKtI 氏 ロック 96 「過ぎ去った日常」 ◆5VEHREaaO2 氏 音無小夜、鶴屋さん 97 brave heart ◆KpW6w58KSs 氏 八神太一 98 罪悪感とノイズの交錯 ◆7jHdbD/oU2 氏 石田ヤマト、ぶりぶりざえもん、長門有希 99 「きゃっほう」/「禁則事項です」/「いってらっしゃい」 ◆LXe12sNRSs 氏 ルパン、ハルヒ、アルルゥ、バトー、みくる、セラス、トグサ 100 王様の剣 ◆RhuwIVoq9A 氏 キョン、トウカ、セイバー 101 眼鏡と炎と尻尾と逃避と紅茶 ◆lbhhgwAtQE 氏 鳳凰寺風、エルルゥ 102 峰不二子の憂鬱Ⅱ/君島邦彦の溜息 ◆LXe12sNRSs 氏 峰不二子、君島邦彦 115 Pernicious Deed! ◆QcxMJGacAM 氏 ソロモン・ゴールドスミス、蒼星石、次元大介 【第一回放送】 NO. タイトル 作者 登場人物 103 第一回放送 ◆q/26xrKjWg 氏 ギガゾンビ
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/5843.html
さすがのハルヒもめまぐるしい出来事に疲れを見せていたが 俺にはもう1つだけやる事があった 通りがかったタクシーを呼び止め、鶴屋さんの家に向かった 車の中で初めて知ったのだが、もう夜の11時を回っていた ハルヒがうとうとしかけた頃、タクシーは鶴屋邸の前に止まった 俺は代金を払ってハルヒを車から降ろし、悪代官の象徴のような玄関に立った チャイムを鳴らしてしばらく待つと、着物姿の鶴屋さんが出てくれた 「やっほーハルにゃんにキョンくん、ずいぶん遅かったにょろね」 はい、遅くなってしまいました これ何とか見つけましたのでお返しします 俺はハルヒが握っていたオーパーツを鶴屋さんに返した 「ほーっ、探してくれたんだーありがとうねキョンくんっ!」 いえあの、探してたって言うか偶然見つかったって言うか 「まあいいさっ!無事に見つかったんだし、これで一件落着だねっ」 あの鶴屋さん 「なんだい?」 このオーパーツですが、その・・・本当の持ち主が見つかったって言うか どう説明すりゃいいんだろ 鶴屋さんの理解力に賭けるしかないか 「いいさっ、こんなのうっとこに置いといても何の意味もないしね ちゃんと使い道の分かってる人が使ってくれた方がいいからさっ でもこのまま預かっててもいいのかな?」 はいもちろんです そのうち本当の持ち主が取りに来ると思いますから 「委細承知っ!さっ早く上がりなよ!」 いやもう遅いですから、ハルヒも眠そうだし 「おんやーハルにゃん?何だか世界を救ってきたみたいな顔してるねー いい顔だよっ!キョンくんも」 「え?あ、ああ・・・そうね」 「いいから気にせず泊まっていきなよ!部屋も布団もあるし」 本当にいいんですか? 「もっちろんだよっ、ただし部屋は別々なのさ!まだ高校生だからねっ!」 俺も疲れ果てて朦朧としていたので、考える暇もなく鶴屋さんに部屋に案内された 「キョンくんはこっちでハルにゃんはその隣、すぐに布団敷くから それからお風呂は男女別で後で夜食持ってくるからねっ でもその前にちゃんと家に電話しなさいっ あたしは自分の部屋にいるからさ、何かあったら内線の2番に電話するがいいにょろ」 部屋に通された俺はとりあえず家に電話をかけた 突然の俺の外泊に母は怒り狂い、妹は電話の向こうで誰と一緒なのかを必死で叫んでいる 俺は正直に鶴屋邸に泊まる事を申告した すると突然母の態度が変わり、丁寧な口調に変わった ちゃんと敬語で話しなさいとか鶴屋さんに迷惑かけないようにとか やはり鶴屋さん、さすがと言うか何と言うのか いったいどれほどの悪事を働けばこんな名士になれるのか 電話を切ってから風呂に入り、戻るともう布団が敷かれていた ボロ雑巾のようにぐったりと眠りこもうとすると、部屋の襖が開いた 「ちょっとキョン、こっちに夜食が届いてるわよ」 ハルヒの部屋に呼ばれて入り、おにぎりと漬物の軽食をいただいた 風呂上がりのハルヒは鶴屋家の浴衣に着替えており ほんのりピンクに上気したほっぺたが以外とかわいい 2人とも疲れきっているのでほとんど会話もなく、食い終わった俺はおやすみを言って立ち上がった するといきなり浴衣の帯を引っ張られた ハルヒの馬鹿力に引き倒され、俺は布団に崩れ落ちた 何するんだよハルヒ 「・・・・・・」 布団の上に転がされた俺をハルヒの目がじっと見下ろしている それは、俺が初めて見る優しい目だった 「キョン」 ハルヒ・・・・・・ 「・・・・・・しょに・・・て」 はい? 「いっしょに・・・て」 はぁ? 「もう!バカキョン!」 ハルヒは俺の頭に腕を巻きつけ、ヘッドロックで締め上げてくる これだけ疲れてるのにまだ暴れたいのかこのアホゥは 素早くハルヒを振りほどいて抜け出す 身構えているとハルヒがまた優しい目に変わった 小さい頃の母を思い出すような優しい目を俺は見つめ ハルヒが言いたい事をすぐに理解した ハルヒ・・・ 「キョン・・・」 結局用意された俺の布団は使われずしまいだった 翌朝になって飛び込んできた鶴屋さんはすぐに状況を察知して 「うんうん・・・・それでいい、それでいいのさ。世界平和が一番だよっ」 と悟りを開いた僧侶のようにありもしない顎鬚をなで ニコニコしながら朝食を用意してくれた 白いご飯に豆腐の味噌汁、アジの干物にだし巻き、海苔と梅干という 素晴らしきかな和風の朝食を平らげた俺とハルヒは、鶴屋家差し回しの車でそれぞれの自宅に送ってもらった ハルヒは朝からほとんど口を利かかなった ありがたい事に昨日は金曜日、つまり今日と明日は休みだ 俺はこの2日間は全力で眠ることにした さっそくのように妹が昨夜の俺の行動について詳細な報告を求めてくるが 悪いが妹よ、お前が大人になるまでは倫理上話す事はできない すでに妹と変わらないぐらいに大きく成長したシャミセンを抱かせ、俺は部屋のドアを閉めた 階下では母親が大騒ぎしながら鶴屋家に出すお礼状の書体について頭を悩ませている まだ朝の時間帯だし、体は疲れているのに眠気は訪れない 俺は昨日の事をぼんやりと考えていた あの誘拐未遂事件から始まって、空から降ってきたハルヒを助け あの異世界で古泉と朝比奈さんのすさまじい戦いをこの目で見た 復活した長門の超高速攻撃を目の当たりにし、最後に長門の涙も見た そして鶴屋家でのハルヒとの一夜 目を閉じたハルヒの美しい顔 無防備な姿で俺の全てを受け入れてくれたハルヒ 俺の背中にしがみついて爪を立てたハルヒ くそっ なぜここで長門の涙が浮かんでくるんだ あの時長門は二度、涙を見せた 初めはハルヒに頬を叩かれた時 そして二度目は長門の部屋でだ 長門・・・・・・ お前の涙は この俺に向けたものなのか? 肉体再生にエラーが頻発すると言ったのは、俺がハルヒとこうなってしまったからなのか? だとすると長門・・・ もしかしたらお前はやっぱり 俺の事を? ・・・・・・・・・・・・ 「キョンくーん!ごはんだよー!ごっはん!ごっはん!」 うるさい妹に飛び乗られて目が覚めた まさしく世界で一番悪い目覚めだ もし長門ならどんな起こし方をしてくれるだろうか ハルヒだったら・・・・・・いややめておこう 結局土日をずっと眠ったままで過ごした 飯を食う時とトイレ以外、俺はほとんど布団を離れなかった そして日曜の深夜になり、突然携帯が鳴りだした 「やあどうも古泉です ちょっと今から出られませんか?」 俺は深夜の街を自転車で飛ばしていた 古泉からの電話はそう複雑な用件ではなかった 「いろいろ整理するためにお話ししましょう」 ずっと寝ていたので眠気もほとんどなく、あいつらから話も聞きたかったし、朝比奈さんにも会いたかった そしてもちろん、長門の様子も気になっていた いつもの公園、SOS団御用達の変人の集合場所についた すでに古泉と長門が待っていた 長門の傷はもう回復したのか、いつもの水色のセーラー服がなぜか哀愁を感じる 「どうも、お呼び立ていたしまして」 相変わらずニヒルな古泉のスマイルだが、あの時のすさまじい戦闘を目の当たりにしているだけにやけに頼もしく感じてしまうのはなぜだろう? 「お疲れは取れましたか?」 ああおかげさんでな。ずっと寝てたから目が冴えてきたんでちょうど良かった 「実は僕もなんですよ。涼宮さんに帰れと言われてから、ずっと気にはなっていたのですが さすがにもう起き上がる体力はありませんでした ベッドにひっくり返って、さっきまで眠っていました」 お前もすごい活躍だったな。かなり見直したぞ 「それはどうも。まさかあなたからお褒めの言葉をいただけるとはね、恐縮です」 ふん 長門はもういいのか?傷の具合は 「……」 長門はいつものようにゆるゆると首を持ち上げ、またゆるゆると元の状態に戻った この当たり前の反応がとても嬉しくもあり、そして悲しくもある ん?朝比奈さんは? 「朝比奈さんも無事です。さっき電話で確認しました ただちょっと混乱しておられるようなので、この場はご遠慮いただきました」 そうか、無事なら何も言うことはない 「前半戦でもっとも活躍したのは朝比奈さんですからね 彼女には本当に助けられました」 本当か古泉? 「ええ 序盤は防戦一方でしたからね。朝比奈さんの力がなければ僕一人で防ぎきれたかどうか」 どんな風だったんだ? 「まあ初めからゆっくりおさらいしましょう 今回は初めて、SOS団が分断された状態で始まった出来事でしたから あなたと涼宮さんが2人の時の状況と、残された我々の様子を確認していきたいんですよ」 長門がピクリと体を震わせた 相変わらず理論派だなお前は まあいいか俺も知りたい事がたくさんあるしな それから長いお互いの話をした 俺は鶴屋邸に行ってからの話をし、古泉からは長門のマンションから始まる長い話を聞いた 時折り長門に話が振られ、その都度長門は首だけを動かして有音無音の返答をした 「まさか戦う前から分断工作が始まっていたとは思いませんでしたね あなたが単独行動した時点で気付くべきでした 森さんたちがよく反応してくれたものだと思います」 そうだ 森さんの具合はどうなんだ? 「大丈夫ですよ。少々の打撲と転んだ時の擦り傷、そして着弾のショックで肋骨にヒビが入った程度です。彼女は一応独身女性ですから、お嫁に行けなくなるような最悪の事態は免れたと思います」 お前、自分の上司にそんな言い方してもいいのか? 「まあいいでしょう。今回僕はかなり株を上げましたからね 僕がもたらせた情報は今後の大いに参考になると思います」 そう言って古泉は俺の耳元に口を寄せてきた 「実はあの夜、森さんも鶴屋邸に泊まっていました。ひと晩安静にするために。これは秘密にしておきますが」 うへっ って事は 俺とハルヒの一夜が機関には筒抜けになっているのか? 「機関はこれをいい傾向だと考えています と言うよりも機関の全員がとても喜んでいるのですよ」 古泉はそこでチラリと長門を見た 「一部の人たちを除いて、ね」 それ以上言うな古泉 お前を殺さなくてはいけなくなる 「分かりました」 それはいいから、今回の総括をしてくれ 古泉はおもむろに前髪をさらりとかき上げ 「では最初から行きましょう 事件の発端はあの転校生とオーパーツです オーパーツには不思議な力があるようです 何かのエネルギーを貯め込む機能のようなものです 電気エネルギーとか核エネルギーなどというものではなく 目に見えない何かのエネルギーです」 「生体エネルギー…に近いもの。でも少し異なる」 「生体エネルギーですか?」 「そう。言語では概念を説明できない また統合情報思念体にも説明できない不可思議なもの」 「例えて言うと、怒りとかそんなものですか?」 「可能性はある」 なんて物騒なエネルギーだよそれは ハルヒの所にに来なくて本当に良かったな 「なるほどね とにかくそれが鶴屋山に埋まっていました はたして本当に3百年前のものなのか、それは分かりませんが それにあの新入生が引き寄せられてきたのです」 「あの女子は、新入生ではない」 「新入生ではない?」 「そう。彼女は私たちだけにしか見えない存在」 「私たちと言うと?」 「涼宮ハルヒ以下、SOS団のメンバー、及び佐々木率いるチームSOS」 おい長門、その名前はやめようぜ あいつらにSOSの名前はふさわしくない 「……そう」 「まあとにかく、あの新入生がオーパーツを使って、自分の世界の再生に利用しようとしたようです ところがなぜか彼女はSOS団ではなく、佐々木さんの方に話を持ちかけたようです 向こうでどんな話になったのかは分かりませんが、乗り気になったのは周防さんのようですね」 周防ね あの壊れた小さいダンプカーか 「ええ。考えてみればその時からすでに彼女の暴走は始まっていたのかもしれませんね。自ら進んで戦いのエネルギーを放出しようだなんて。これがSOS団に来ていたら、涼宮さんが絶対に阻止していたことでしょうけど」 古泉、お前本気でそう思うのか? 「当然ですよ。まさかあなたからそんな質問が来るとは思えません あなたは涼宮さんがオーパーツを手にしたら、ここぞとばかりに大激怒エネルギーを異世界中にまき散らすとでもお思いですか?」 …… 「とてもあなたとは思えない発言ですね。悲しい事です 涼宮さんを一番よく知るあなたが、冗談でもそんな事を仰るとはね」 分かった分かった そんなに本気で怒るなよ古泉 訂正いたします 「失礼しました。別に本気で怒るつもりもありません オーパーツが先に向こうの手に渡ってしまったことが大きかったですね それと結果論ですが、あなたが鶴屋邸に行く事もなかったのではないかと」 ああ あれは軽率でした 「橘京子の組織はそこまで予想していたのでしょうね オーパーツが紛失すれば鶴屋さんはまずあなたに連絡をとる 責任感の強いあなたは絶対に鶴屋邸に来る 長門さんが動けない状況であなたも閉じ込めてしまえば、戦わずしてもう負けが決まっているようなものです ここはただひたすら、森さんの機転に感謝すべきです」 確かにそれは言えるな まさか銃まで出てくるとは 「銃はあくまで脅しのつもりだったのでしょう あの住宅街で発砲すればそれこそ大騒ぎです 鶴屋家まで巻き込むことになってしまいますから それは重大な規則違反ですからね」 おい古泉 鶴屋さんは橘京子の組織にも絡んでるのか? 「そこは限りなくグレーゾーンです。我々にもはっきりしたことは分からないのです。ただ、鶴屋さんの様子を見る限りはその可能性は高いですね」 俺はひそかに鶴屋さんとの会話を思い出していた 鶴屋さんは面白ければそれでいいと言っていた どっちの味方をするわけでもなく、ただ面白い事をしている人間に金を出して傍観する、そんなのが楽しいんだよとか言ってたっけ 罪な事をしますね、鶴屋さんも 「結局鶴屋家も巻き込む騒動になってしまったのですけどね 怪我の功名というか、事件の後始末は極めてスムーズでした 鶴屋家からも相当な圧力がかかったのでしょう 暴力団同士の小規模な縄張り争いということで、マスコミにもほとんど漏れていません そうしてあなたが脱出していた頃、長門さんのマンションに佐々木さんたちが乗り込んで来ました 藤原氏の時間操作なのか、周防さんの能力か、世界一セキュリティの高い長門さん宅に無断侵入してくるとはね まだその時点では僕もそう焦ってはいませんでした 長門さんが寝ていても、そしてあなたがいなくても こちらにはまだ涼宮さんがいます 涼宮さんがいる限り、本当のピンチにはならないと確信していましたから ですから涼宮さんがどこかに飛ばされたのには心底驚きましたよ しかも我々も異世界に移動している 眠っている長門さんと、慌てる朝比奈さんをどうしようか、かなり焦りましたね」 まさに分断工作だな 実にややこしい事をしてくれたもんだ 「ええ あなたから話を聞くまでは、どうしてこうも複雑な過程なのかと頭を悩ませました 序盤は全く厳しい戦いでした 朝比奈さんは泣きそうになっているし、長門さんは起きないし 正直僕一人でどこまで防げるのか、全く自信がありませんでした」 「……ひたすら申し訳ない」 「長門さんを責めるつもりはありませんよ 予想しても防げるものではありませんから まさかこれほど複雑な作戦になっているとは 誰も予想できませんでしたからね」 おいちょっと待て古泉 だからと言って何で戦闘になったんだ? ハルヒも言ってただろう? クールなお前が率先して戦い出すなんて 俺にも信じられないぞ 「これは言い訳にまってしまいますが、どうしようもありませんでした 問答無用で周防九曜が攻撃を仕掛けてきたからです 朝比奈さんの裏技がなかったら、朝倉涼子の登場まで持ちこたえられたかどうか」 その朝比奈さんの裏技も解説してくれ 「あの異世界に呼び寄せられてから、僕の能力が発揮できるようになりました つまりあそこも閉鎖空間に近いものがあったのでしょう 朝比奈さんも同様です TPDDの使用制限が解除され、彼女は自由に行動できるようになりました あなたはきっと喜ぶと思いますが、朝比奈さんの活躍は素晴らしいものでした 周防九曜の攻撃が当たる寸前に時間移動を発動して、光線が通過した後にまた元に戻します。それを1秒間に何度も繰り返すのですから、もう奇跡としか思えませんね。藤原氏が漏らしていたのですが、TPDDをあのような戦闘に使用したのはおそらく朝比奈さんが世界で初めてではないかと かくいう僕も何度も時間移動しました 160回目ぐらいまでは数えていたのですが、それからはもう」 お前も余裕があるというのか暇だというのか、ご丁寧なヤツだ 「それを朝比奈さんは長門さんにも自分自身にも発動していたのですから おそらくあの時間だけで千回以上は繰り返していたのではないかと」 俺は朝比奈さんが活躍するシーンを思い浮かべてニヤついていた 「ふぇっ!」とか「わたたっ!」とか叫びながら、必死でこいつらを守っていたのか SOS団専属、いや俺専用の癒しマスコットがそんな活躍をしていたとは 「顔が蒸しすぎた蒸しパンみたいになってますよ」 古泉に言われて慌てて顔を引き締める 何だかこいつもハルヒ流の比喩が使えるようになってきたな 気のせいか、長門の視線までもが冷たく感じるのはなぜだ ん?ちょっと待てよ古泉 朝比奈さんは最後に7億年前に遡ってきたと言わなかったか? 確か4年前より昔には行けないって言ってなかったか? 「僕はそんなものは初めから信用いてはいませんよ 誰が朝比奈みくるの仮説を証明できますか?」 そうか、お前らは一応敵同士でもあるんだな 「別に敵というわけではありませんよ。ただその件に関しては意見を異にしているというだけで 彼女は最初からもっと過去に遡行できたのかもしれませんし、涼宮さんの力が働いたのかもしれません それに出発したのがあの異世界ですから、もしかしたら次元断層を通らずに遡行できたのかもしれません」 ふん、どうとでも都合よく解釈できるってわけか。まさにハルヒさまさまだな 「その件に関しては同行した藤原氏も認めているのですから 間違いなく7億年前に行ったのだと解釈してよろしいんじゃないでしょうか」 まあいいけど、ちゃんと戻って来れたんだからな 「では話を元に戻しましょう その頃あなたは涼宮さんと合流した これが敵の最初の大誤算でしたね」 ああびっくりしたよ全く ハルヒが空から降ってきたんだからな 「あなたを戦闘圏外に拉致し、涼宮さんをあの場から放り出せば向こうは一気に有利になります。まさに森さんに感謝すべきですね」 はいはい くれぐれも森さんや新川さん、多丸兄弟によろしく 「そこでついにジョン・スミス発動ですね」 いや本当はもう少し先延ばしにしたかったんだけどな 佐々木まで出てきたんで仕方がなかった ハルヒにはできないとか脳なしだとか言われて さすがのハルヒが凹んじまったからな 元気を出させるために仕方なくそうした 「すんなり言えたのですか?涼宮さんはすぐに納得したのですか?」 そこはちょっと禁則にしてくれ古泉 いろいろあったからな 突然物が言えなくなったりした 「したんですか?あの時のあれを?」 古泉、頼む 今は言いたくない 「長門さんの前では、でしょう?」 ……禁則だ 「分かりました。それは置いておきましょう 朝倉涼子を呼び出したのは涼宮さんですね?」 それは間違いないと思う 朝倉が自分でそう言ったんだろう? 「ええ、確かに彼女がそう言いました あの時まだ長門さんは封印されていました そして涼宮さんは、朝倉さんとあなたの間にあった事は知らないはずです かくいう僕や朝比奈さんも、朝倉涼子の事はほとんど知りませんからね 涼宮さんはなぜ朝倉さんを呼び出せたのでしょうか?」 おい古泉 お前の誘導尋問にはほとほと飽きた いいからさっさと続けろ 「つまり涼宮さんはあなたの思考を読み取ったのだと思いますよ 手の届かない異世界で、情報統合御思念体すら存在しない世界で 長門さんが動けない状態で周防九曜と互角に戦える存在 あなたの潜在意識のどこかに朝倉涼子の存在を感じたのでしょう 涼宮さんは絶体絶命のピンチの時にあなたを頼っていたのです まさに僕の分析通りでしょう?」」 俺は無意識に古泉の胸ぐらを掴んでいた やめろ古泉 ここでその話をするな 少なくとも、長門の前ではやめろ 「本当にそれでいいのですか?」 古泉が俺の手首を掴んでいた 振りほどこうとしたが無理だった 古泉は盤石の力で、俺を押さえていた 「あなたは少し、自分中心に物事を考え過ぎです それでは悪い状態の時の涼宮さんと同じではないのですか? 全ての人間が、全ての女性が自分を中心に行動しているとでも?」 初めて見る古泉の剣幕に、俺はちょっとひるんでしまった 古泉の目は本気だった ケンカならいつでも受けて立ちますよ そう訴えかける古泉に無謀にも戦いを挑むほど、俺の戦闘経験値は高くはない いや、人生円満が信条だった俺にケンカの経験などあるはずがない 俺が手を放すと、古泉はニヤリと微笑して胸元を整えた 「まあいいでしょう。話を続けます 朝倉涼子の出現で再び戦局が変わりました 実はこの時もかなりのピンチでした 朝比奈さんの裏技を藤原氏が察知してからはね 彼は先を読んで時間移動し、朝比奈さんを混乱させました 藤原氏と周防九曜の間にコミュニケーションがとれていれば、かなりの難敵だったでしょう。つまり、あらかじめ攻撃する相手を決めてから藤原氏が時間移動させる。そして元に戻った直後、朝比奈さんが反応する前に攻撃をかけたら、こっちはお手上げです。守ろうにも相手がいないのですから 僕の能力もあの世界ではかなりパワーアップしていました 周防さんの矢が何本か刺さりましたが、不思議とダメージはありませんでした 朝比奈さんにも何度か命中したように見えたのですが、不思議ですね。彼女が傷ついていたようには思えませんでしかたら」 それはあれだよ古泉くん 朝比奈さんのあの癒しオーラはどんな攻撃も受け付けないって事だ 「ほらまた 長門さんに言いつけますよ」 ぐっ すまん古泉 長門がむっくりと首をもたげ、宙の一点を見つめていた 「朝倉涼子は長門さんを守りながら攻撃もしていました 1年前のあなたの気持が少し分かったような気がしますね 同じTFEI端末でも長門さんとはまるで違っていました やはり彼女は戦う事を楽しんでいるようにも見えましたから 今回の敵でなくて良かったと思いますよ しかし敵もさるものです 周防九曜は第2形態に移行しました それまでは指先から小さな光線を放つだけだったのですが ここに来て髪の毛で槍を作るという攻撃に切り替えてきました その槍が何本も同時に飛んでくるのですから 朝倉涼子の登場で数の上では同等になりましたが、それでも攻勢に転じることはできませんでした 僕は橘京子の相手に精一杯で、朝比奈さんは相変わらず朝比奈さんでした その時あなたは何をしていたのですか?」 ああその頃はたぶん パズルを解いてた 「パズル?」 パズルっていうかクイズだな 算数クイズ そうそう長門さん 俺に問題出す時はこれからは文系問題でお願いしたいのだが おかげで俺はハルヒに説教される始末だったんだぞ 相変わらず宙の一点を見つめていた長門は、UFOキャッチャーのクレーンのようにゆっくりと首を回転させ、ゆっくりと視線を上げた 「……検討する」 「それはもしかして、長門さんが作った鍵だったのですか?」 そうだろ長門? お前が残してくれた抜け道なんだよな 「そう。あなたの知能に合わせてレベルを考慮したつもり」 やれやれ それはどうも痛み入ります ハルヒはすぐに分かって嬉しそうにしてたけどな 俺がなかなか分からないからイライラしてた 何度も頭ペチペチ叩かれて、まだ分からないのかこのバカってな 「こちらが大変な時に、仲むつまじくて結構ですね」 すまん古泉 言い訳のしようがない 「問題を教えてもらえませんか?」 額縁の枠に数字がずらずら書いてあった その数字を読んで、額縁を正しい向きに直すって問題だ 俺は一応あの問題は自力で解けたので、胸を張って古泉に報告した 「それだけですか?」 ああそうだよ古泉くん 「そんな簡単な問題ですか?」 えっ? 「それは小学校低学年レベルでしょう 誰だって3141529の数字を見ればすぐに理解しますよ」 そっそうか? 俺は長門の顔を見た 思いついた時ぐらいしか瞬きをしない長門の目が、俺を蔑んでるような気がした 「………」 まあいいや古泉 話を続けよう 「はいはい 我々は防戦一方でした あなたと涼宮さんが時空の壁を越えてきた事にも気付きませんでした いつあの世界にきたのですか?」 たぶんそれぐらいの時だと思うぞ 俺たちが行った時はもう朝倉がいた お前は赤い光になっていて、朝比奈さんはチカチカ点滅していた 「それは、激しすぎるタイムトラベルのせいでそう見えたのでしょう」 長門はまだ寝ていた 「……」 ハルヒが突入しようとしてバリヤーに体当たりして鼻を思いっきり打った それで手でこじ開けようとしてる時にまた佐々木が現れた 「手で開けたんですか?」 ああハルヒのバカ力だ 封印されてた長門のマンションのバリヤーもハルヒが手でこじ開けた 「実に涼宮さんらしい問題の解決方法ですね」 だけどあっちのバリヤーはそうはいかなかった 佐々木はハルヒに変な霧みたいなのを吹きかけて、ハルヒを無力にさせた 「佐々木さんにそんな能力があったのですか?」 それを俺に聞くな古泉 こっちが聞きたいぐらいなんだからな 「最初に飛び込んできたのはあなた1人でしたね どうやって入ってきたのですか?」 えっと…確か…… 閉じ込められたハルヒがふにゃふにゃ言い出してどうしようもなかったから とりあえず俺が突入した 「全然説明になってませんね。また何かあったのでしょう?」 やれやれ全く 霧みたいなのに包まれて動けなくなったハルヒは、自分の力の無さに悲しんでいた。今まで何も気付かずにごめんとか、助けに行けなくてごめんねとか ぶつぶつ言ってたから俺が突っ込んだ 「もう少し詳しくお願いします」 うるさいな古泉 「僕の詮索好きはとうにご存じのはずです 話せる範囲で構いませんから、お願いします」 ハルヒがそう言って泣き出したんだよ 長門の事も、朝比奈さんの事も、そして古泉、お前たちを助けに行けなくてごめんって、そう言って涙を流していた 「涼宮さんがですか?僕たちのためにそこまで?」 ああそうだよ 鶴屋さんにも森さんにも言われた ハルヒはああ見えてもそんな女なんだ 自分で全ての責任引っかぶってメソメソ泣いてる あんなハルヒは正直見たくなかったね 「そうだったんですか…涼宮さんが…」 古泉はそうつぶやいてそっと目頭を押さえた 塑像のように動かなかった長門すら、前髪を直すふりをして目元に手を当てた 「それであなたは逆上してしまったんですね」 逆上とか言うな古泉 「その先は十分すぎるほど想像できますね めったに見れない涼宮さんの涙を見たあなたは逆上して、佐々木さんに襲いかかった。しかしあっさりとかわされて勢い余ってこちらに突入した」 くっ 言いたくないけどその通りだ 「それだけで通り抜けられるほど弱いバリアーだったとも思えませんけどね 涼宮さんにはできなくてあなたにはできた それももしかすると涼宮さんの力かもしれませんね 自分はできないけど、あなたにならできる。そんな涼宮さんの思いがあなたにバリヤーを通過させた」 ふん 何でも適当に言ってくれ 「後は僕たちも見た世界ですから、飛ばして行きましょう 突入してきたあなたにすぐに周防九曜が反応した 襲いかかる槍にあなたは対処できない」 ああ 悪い事をしちまったぜ まさかあそこで朝倉に助けられるとは思わなかったよ 「朝倉涼子と何か話はしましたか?」 えっと、ごめんねとか、自分の事を悪い思い出にしないでほしいとか言ってた 「あなたはそれを許したのですか?」 許すも許さないも、もう1年も前の話だ それに俺の命を救ってくれたのだから、もうそれでいいだろう 「長門さん?」 「…?」 「朝倉さんとは今も連絡は取れるのですか?」 「……取れていない。あれ以来」 「あれ以来と言うのは1年前からと言うことですか?」 「違う。金曜日の夜以来」 「ほう…これは非常に興味深い」 何が興味深いんだよ古泉 また何かたくらんでるのか? 「いえ、そんな事はありませんよ」 その時突然、ぼんやりした目を宙にさまよわせていた長門が バネ仕掛けのおもちゃのように急に俺に視線を向けた 「……忘れないで」 ああもちろんだとも長門 あいつに助けてもらった恩はずっと忘れない そして・・・お前に助けてもらった事も 「違う。そういう意味ではない」 え? じゃあどういう意味だ長門? 「それは……禁則事項です」 長門が実に珍しく、ボディアクションまでした まさに朝比奈さんの真似をするような動きで、軽く自分の唇に触れ、そして不器用に片目をつぶった 長門?それはいったい? 「いずれ分かる」 古泉がコホンと空咳をした 「さ、さて、話を続けましょうか。そろそろ終盤です 朝倉涼子は消滅しましたが、あなたは無事です オーパーツを持ったあなたに再び周防さんの槍が襲いかかります そして…」 「……」 そこで長門が背筋をピンと伸ばした 胸を張るように、その薄い胸板を突き出している 「……お待たせして申し訳なかった」 「不謹慎ですが、団長がいないので思い切って告白します 長門さんが眠りから覚めた時点で、我々は勝ったと思いましたね。僕らしくない事ですが まだあの時は涼宮さんは登場していませんでしたが、明らかに涼宮さんの力の影響は感じていました。すぐ近くまで来ているのだと確信しました ここからは攻勢だと思ったら、長門さんはバリヤーを強引に突き破って涼宮さんをこちらに引きずり込みました。まさに涼宮さん流です 長門さん?」 「…?」 「眠っていた時の記憶はありますか?」 「ほとんどない」 「少しは?」 「ある」 「目覚めた時に何かを感じましたか?」 「いろいろ」 「それはもしかして、怒りという感情だったのではないですか? 長い時間眠らされていた相手に対する怒りとか?」 「……」 おい古泉 もうやめてやれ 長門の感情を操作しようとするな とにかく目覚めてくれて、助けてくれたんだからそれでいいじゃないか 「もちろんですよ 長門さん、失礼な発言をしてしまいました。お詫びします ただあの強引な涼宮さんの引っ張り方がちょっと不思議だったもので」 「…別にいい」 「これでついにSOS団全員が登場したというわけです それまでは実に厳しい戦いでした モンスターからの先制攻撃でいきなりマホトーンとバシルーラを同時にかけられたようなものですからね」 その例えは実にナイスだぜ古泉 ついでに甘い息と馬車の扉閉めと しかもパーティーに残ったのは盗賊と遊び人だけだ。いやせめて踊り子にしておこうか 「まあいいじゃないですか それにしても最後の涼宮さんの行動には意表を突かれましたね まさか叩かれるとは思いませんでした あなたは涼宮さんが力を自覚して、最初に何をすると思いましたか?」 そうだよそれそれ まさかハルヒが全員を叩くとはな 俺なんか2回もグーで殴られたぞ ハルヒが登場した時、あいつは間違いなく怒りのオーラに満ち溢れていた 俺が今まで見たことないぐらい、怒髪天を衝くってやつだったからな それがいきなり『やめなさい』だったからな 「ええ 僕も一番それを恐れていました その時はもうあなたがジョン・スミスをもう発動していると思っていましたので 開口一番世界を作り直すのではないかと、まさかそこまではしないとも思いましたが あんな結末になるとはね」 ああ あの時は確かに思った さすがは俺たちのSOS団団長だってな 「全くその通りですね 団長の面目躍如です 結局周防九曜と朝倉涼子は除いて、誰1人欠けることなく全員が戻って来れたのですから」 あの新入生もな 「…あの子は帰ってくる」 そうか、そう言ってたな長門 「……」 その時の長門の沈黙の理由は、後で知ることになるのだが それはまた別の話 「長門さん?」 「…?」 「周防九曜の事についてもう少し説明していただけませんか?」 「周防九曜は限りなく異質な存在。我々にも理解できない 天蓋領域がなぜあのようなインターフェイスを送ってきたのかさえ不明 ただし、周防九曜には致命的なエラーがあった」 「エラーですか?」 「そう。周防九曜と天蓋領域の間には永続的な接触手段が存在していない 私や朝倉涼子は常に情報統合思念体と接続している 何らかのアクシデントで仮に接続が断たれた場合のみ 私たちは自分の判断で行動する。でもこれは極めて例外 可及的速やかに情報統合思念体との再コンタクトが要求される でも周防九曜は別 初めに存在条件だけを入力された周防九曜は 全て自分の判断で行動していたものと思われる その間に蓄積された知的経験値やエラーの概要などは天蓋領域には全く伝わっておらず 分析もできなければ修正を施す事もできない 周防九曜はそうして暴走を始めたものと思われる」 すまん長門 覚悟はしていたんだけどやっぱり理解できん 「つまり言いかえるとこういうことですね 現代のGPSと昔の慣性航法の違いのようなものですね?」 おい古泉 お前分かって言ってんのか? 「あなた用に分かりやすく言い換えてるんですよ こういう事です 現在の航空機や船舶その他の交通機関はほとんど全てGPSを使用しています この地球上で自分の位置を知るために衛星からの信号を受信します その位置情報は常に更新されており、誰でも最新の現在位置を知ることができます それが発明されるまではどのような仕組みだったかご存知ですか?」 ああそれは 確か星を見て角度を測って 「それは天測航法ですよ いつの時代の話をしているのですか? それまではジャイロ原理を利用した慣性航法を使用していました 出発前に現在位置を掌握してその情報を入力し、後は移動するたびにジャイロが加速度を検出して現在位置を予想していきます しかしこれはあくまで予想ですから、実際の現在位置とはある程度のずれが出ます 陸上を移動する交通手段とは違って船や航空機ではそれは大きな問題になりました 目的地と実際に到着する場所が数百kmも離れていたなんて、初期の頃にはしょっちゅうあった出来事です つまり周防九曜にインプットされた情報は最初に入力されていたもののみで、長門さんや朝倉さんのように常時アップデートができない環境に置かれていた彼女は、実際のデータと照合してくれる対象がなく、その結果エラーを誘発してしまい、当初の目的の行動にたどり着けなくなってしまったと、こんな感じですか?」 「…かなり近い…補足説明に感謝する」 このあたりで気付くべきだったのかもしれない 俺に対する長門の反応と古泉に対するものが 若干の変化の兆しを見せ始めている事に 「となると天蓋領域もそのままで終わるとは思えませんね長門さん 今回の失敗で学習して、次からはアップデート可能なインターフェイスを用意してくるとか」 「可能性はある」 「対処はできますか?」 「できる。必ずする」 長門 もうちょっと教えてくれ 周防九曜とあの新入生はどうなったんだ? ついでに朝倉涼子も それからあの世界はいったい何だったんだ? 「あの異世界はこちらからは観測不能。実際に存在するものなのかも確認できない 情報統合思念体も困惑している わたしからの誤情報ではないかと懸念している」 だけど朝倉も実際あそこにいたんだし 「あの異世界にいた朝倉涼子と情報統合思念体にいた朝倉涼子は別物 混同はできない」 でも俺を襲った記憶はちゃんと持っていたぞ 「それに関しては涼宮ハルヒの行動を解析するしか方法はない つまり不可能 朝倉涼子がどうなったのかは現在でも不明 この時間平面にも存在していない」 ということはハルヒに呼び出されるまでは存在していたのか? 情報統合思念体の中で? 「そう」 つまり故郷に帰ってたってことだな? 「そう……でもあなたの気分を害すると思ったので報告しなかった」 俺に気を使ってくれたのか 小さな頭がコクリとうなずく 「朝倉涼子は消滅してはいない。私はそう信じる」 またひょっこり情報統合思念体に帰ってくると 「…………」 長門の沈黙はいつもより長く続いた 俺は話題を変えた方がいいと思った じゃ、じゃああの新入生と周防九曜は? 「新入生はまだあの世界にいる。しかし彼女は困惑している 涼宮ハルヒはオーパーツを彼女に渡すべきだった しかし涼宮ハルヒがそれを持って帰ってきてしまったので 彼女は自分の世界を再生する事ができず また自力ではこの世界に来ることができない あの時の涼宮ハルヒの行動は全く意味不明 分かりやすく言うと、ただの新入生いじめ」 長門にしては分かりやすい比喩表現だが ということは向こうで周防と一緒に暮らしている可能性もあるっていう事か? 「その可能性はない。周防九曜は消滅した」 消滅? 「そう。暴走した周防九曜は非常に危険な存在。だから私が殺した」 長門さん、良い子も見てる可能性がありますから あまり暴力的な表現は自粛しましょうね 「私が息の根を止めた」 おい長門 「首をへし折って殺した」 …… 「いかなる高度な生命体でも、たとえ人工生命体であっても、情報の処理器官である脳との伝達器官を遮断されると生命維持機能は停止する。それはわたしも同じ。 周防九曜を生かしたまま、あの場所に放置するわけにはいかなかった だから首をへし折って息の根を止めた あの場所では天蓋領域が情報を回収することもできない よって、周防九曜は完全に消滅した」 俺はその時、長門がとてもダークな存在に見えた 古泉までもが口をパクパクさせている 長門・・・ お前もしかして…やっぱり怒ってたのか? 「……私にも……少しぐらいのプライドはある」 分かったぞ長門 何か言われたんだなあいつに 「………そう」 それは…やっぱり禁則なんだろうな 「その通り」 分かりました 長門が怒ったシーンは今までに何度か見たことはある しかし、普段面倒がって言葉にする事の少ない長門がこれほどまでに口汚く罵るとは、周防九曜はいったい何を言って長門をここまで怒らせたのだろうか いつか長門さんのご機嫌が最高にいい時があれば、後学のためにぜひご教授願いたいものだ かなり長い間話しているうちにもう空がうっすら明るくなっていた やばいなこれは せっかくたっぷり眠ったのにこれじゃまた寝不足だ 少しでも寝ておかないと 話も終わりが見えてきたので俺は立ち上がった じゃあな古泉 「ご苦労様でした 長々とお引き止めして申し訳ないです」 いいってことよ いろいろ聞けてよかった 「こちらこそ。涼宮さんがどれだけ僕たちの事を真剣に考えていて下さっていたのかが分かりましたから。ちょっと涙ぐんでしまいました」 それはよかった 長門・・・いろいろありがとう また命を助けてもらったな 「こちらこそ面倒をかけた」 えっと、その…… 済まなかった 「……さようなら」 長門… 「…わたしは大丈夫」 そうか じゃあまた明日、っていうか今日か また部室でな 俺は古泉と長門に別れを告げ、自転車にまたがった ひんやりした夜の空気が顔の前を流れて過ぎていく 自分の取った行動に後悔なんかはしていないけど 長門の寂しそうな表情をこれ以上見ていられなかった でももう一言だけ、言いたい言葉があった さようならの意味が知りたかった リンク名 その5に続く
https://w.atwiki.jp/fairytaleaniki/pages/52.html
1 :風吹けば名無し:2009/09/30(水) 00 18 28.73 ID BHgscFsO 草野「う~ん、いい尻してるねぇ~」 小谷野「おい、お前やめろ!」 草野「う~ん、捕まっちゃったねぇ~」 里崎「あ、ありがとうございます!うち、怖くて大きい声出されへんで……」 小谷野「いいって事よ。おれは私服警官でな。毎日同じ車両で被害が出てたから張り込んでたんだ」 里崎「警察の方やったんですか!ほんま頼りになります。おおきに」 小谷野「犯人も駅員に引渡したし君にも話を聞きたいんだけど協力してくれるかい?」 里崎「もちろんです!少しでもお手伝いさせてください」 小谷野「じゃ、デリケートな話になるから人の少ない所に行こうか」 里崎「色々気を遣って頂いてありがとうございます。ほんま優しいわぁ」 小谷野「なんてな!へへ、こんな悪人面の警察がいると思ってんのか!?おら、ケツ出せ!」 里崎「偽警官やったん!?こんなんやったら痴漢の方がマシや…。はやとぉおおおお!」 http //live23.2ch.net/test/read.cgi/livejupiter/1254237508/
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/3309.html
朝倉涼子が輪郭線を完全に喪い、跡形も残さず消滅する。 長門の与えた彼女へのラストワードが、消え失せ乖離してゆく彼女の鼓膜にまで届いたかどうか、確かめる術は最早ない。己の力で滅した元同胞に対し長門が覚えた感情は、単純な勝利への喜びに満ちて終われるものではなかった。 他に選びようがなかったとはいえ、後味の悪さは付随する。葬った彼女に対し、寂寞と羨望を抱いていたかつての己を長門は思った。 言うなれば彼女は模範だったのだ。 後退して行く未来を憂いて、思念体の意向に反した行動を取った。ヒューマノイドインターフェースとしては欠落しているようでいて、其の実どの情報端末より活き活きと「人間」の感情を、それは主に負に傾いたものではあったけれども、自前のものとして持ち合わせていた。朝倉当人は、その事実を自覚しきらぬままに。 朝倉によって改変されていた空間情報は、スノードーム内に組まれていたプログラムによって自動修正が始まった。溶解した飴のように周辺一切を同色に染めていた銀が伸びあがり、うねりながら元の廊下を模って修復を行ってゆく。 連結を解除される寸前までいった長門自身の肉体も、プログラムの影響下にてどうにか回復するが、貫かれた足腰のために喪ったバランスまではすぐに取り戻せなかった。立ち上がろうとしてよろめき倒れ掛かった身を、さり気なく細い両腕が抱き止める。 「相変わらずの無茶ぶりですね、長門さん」 穏当な女性の声が、長門を労ってやんわりと降る。長門は瞬き、琥珀の瞳の表層にその姿を映した。 喜緑江美里――長門と同じくTFEIの一人。長門は自分を助け起こすようにする喜緑を物言いたげに見据える。 朝倉の言質が正しいのであれば、彼女も既に長門を切り捨てていておかしくない存在なのだ。喜緑は元々、長門の暴走を未然に阻止するための監査を目的の一つとして、此の学校に派遣されていたのだから。 「誤解があるようです。情報統合思念体は貴女を見捨てた訳ではないんですよ?」 お転婆な妹を案じる物静かな姉の様に、喜緑はおっとりと微笑んだ。 「朝倉涼子から急進派『主』の位置をトレース、捕捉を完了。一斉掃討が始まっています。――つまりは、この計画自体が釣堀ということです。主流派は元々、急進派を容認するつもりはありませんでした」 淑女らしい微笑のもと、紡がれる解説は長門の推測をまた、越えていた。喜緑ののんびりとした解説が正気ならば、主流派が急進派を滅する為に、古泉の「機関」とその救援に向かう長門の行動までを見越し、策を弄して急進派を『嵌めた』ということに他ならない。 「何故」 長門の問いは端的だった。 「涼宮ハルヒの情報フレアの観測が成せない事は、主流派にとっても致命的。急進派の主張にも思念体からすれば正当性はあった。それなのに主流派は敢えて、急進派を掃討までして現状維持を貫いた。……それは、何故?」 「自律進化の可能性は、涼宮ハルヒ本人のみでなく、その周辺に波及していることに思念体が気付いたからです。――長門さん、貴女のことですよ」 「……わたし?」 鸚鵡返しにするしかない長門の呟きに、長門の髪を梳かすように手をやった喜緑は何処か嬉しげでもあった。 「感情という概念。地球上で貴女が獲得したそれは、思念体に随時送信され、分析を受け続けました。それは人類に見るべき価値を持たなかった思念体にとって理解の範疇を超えたもの。貴女がそれを得たことによって、思念体は可能性を夢見た。――その『感情』こそが、涼宮ハルヒの力の源に直結し、進化の鍵足り得るのかもしれないと」 それは同時に退化の可能性をも含有するものではあるけれど。 進化の方向性を見失い、停滞していた情報統合思念体が見出した、小さな人間の奇蹟。 「長門さん。貴女の未来を『既定事項』にするのは、貴女の選択です。……もう、気付いているのでしょう? そのスノードームが、何時、どの時代から齎されたものかについても」 長門は、己の窮地を救った硝子の球体に眼を遣った。古びたアンティーク物、古泉一樹が長門に託した雪の結晶のような贈答品。けれど朝倉涼子を瞬時に打ち倒し、空間再生を図ることの出来るプログラムを内臓したそんなものが、この時代に残存している筈がない。 「貴女の規制は解除されました。全情報端末が貴女の支援に回ります。――長門さん」 巣立つ子を見送る親の眼差しをもって、喜緑は長門を後押しした。 涼宮ハルヒの可能性の波紋に飲み込まれ、『感情』を得た長門有希に朝倉涼子の他に。彼女らを見守って来た一端末の喜緑江美里までもが、確かに、人の持つそれと等価の親愛を形にする。存分に暴れて構いませんよと、茶目っ気を混ぜた一声と共に。 「貴女の大切な人を見つけに、いってらっしゃい」 憂慮する事項は、情報制御能力を再び取り戻した今、長門有希には何一つとして有りはしない。 長門は言われるまでもないと主張せんばかりに喜緑を見つめた。 「――同期を申請する」 『機関』傍に配置された情報端末に、その身をもって、古泉一樹を救いにゆく。統合思念体は愛娘の意思に、 ただ一言、 ―――「許可」の、返礼をした。 怒号と、叫喚が飛び交っている。 銃声に伏す仲間。機関銃の耳障りな騒音。古泉一樹は草叢に潜ませた身を縮め、散り散りになった仲間を案じながらグリップを握り直す。 非常時に備えて一通り、扱えるように訓練ならば積んでいたものの、まさか高校生の身分の内に手にすることになるとは思っていなかった拳銃。借り物のようにしっくり来ない黒光りするそれの重みが、古泉に否応なしに戦線を意識させた。 機関所有の山奥。他の支部との中継地が置かれた其処には、今から政府転覆を宣言しゲリラ活動に身を投じられそうなレベルの武器庫、弾薬庫があった。涼宮ハルヒ抹殺をもくろむ過激派が要所押さえにまず狙ったのはそこであり、機関の現状維持主張派と攻防戦が続いている。 応援要請は疾うに発されているから、暫く待てば各地から支援部隊が回ってくる。そうなれば過激派を抑え込むも容易だ。必要なのはそれまでの時間稼ぎであり、可能な限り犠牲を減らすことだった。 古泉はすっと深呼吸をする。 今回の彼等の反旗には、謎が多い。急に過激派が動き出したことも、それを機関の上層部が事前に察知し、食い止めることが叶わなかったことも、考えれば考えるほど奇妙な話だった。 立てられるのは一つの仮説。何らかの介入、人間の手に及ばないような上位の力が加わった事により、過激派が成功を過信し行動に踏み切ったとしたならば。 「死ぬ」未来を古泉自身に先に提示した未来人の思惑も気に掛かっていたが、手元にあるのは状況証拠ばかりで情報が不足している上、ゆっくり思考に浸る暇もなさそうだ。――敵が、倉庫を占領する為に近付いて来る。 古泉は身をやや持ち上げ、後退しながら低姿勢で狙いを定めた。 網膜の裏に、SOS団の面々の姿がちらつく。帰って、皆と一緒にパーティーを。長門さんを祝し、クラッカーを鳴らし、皆で騒いでケーキを食べて。涼宮さん、朝比奈さん、「彼」もきっと楽しく過ごせる一日になる。 解散時になったら、そう、改めて彼女に言おう。 「――!おい、向こうだ!」 古泉が引き戻した意識の先で、男が別方面の仲間に向けて銃を突きつけている。古泉はまずい、と反射的に引き金を引いた。乾いた音に、衝撃の反動が手首にかかる。ずうんと指先の痺れる感触、手が震えて痛んだ。弾は運よく反乱分子の一人の脚を貫通していたが、男の上げた痛烈な叫び声が、敵を此方に引き寄せていく。 古泉が慌てて視線を走らせると、仲間の方は無事に逃げたらしく、先程まで棒立ちになっていた姿は見えなくなっていた。 とはいえ、ぐずぐずしているとすぐにまた群がってくる。離れなければと古泉が踵を返すその先に、見慣れぬ男が血走った眼で走り込んできた。違う角度から攻め込んできていたらしい敵の一味。 「野郎!」 唾棄するような叫びが聞こえ、駆け付けた男の銃口が古泉に牙を剥く。逃げろ、走れ、叱咤すべき脚が動かない。 まるで時を逸したような、スローモーションの中のような光景だった。口径何ミリの弾丸か、そんな事までは把握仕切れなかったにせよ、一直線に走るその一撃が古泉に目掛けて飛来して来ることをほんの一秒僅かの間に、古泉自身が理解した。銃弾が己の胸に、吸い込まれるように飛び込んでくる。視界が、刹那に白く染まった。――激痛は、遅れて古泉の半身を灼いた。 「あっ……ぐ…!」 呻き声が漏れたが、それすら聞こえない。自分が倒れたのかどうかさえ、古泉には判断が効かなかった。フラッシュを焚かれたままの世界、視神経が焼き切れたように何も見えない。 か細く人の名を、彼自身が切望するように呼ぶ。現実に彼の腹部を赤く染めていた鮮血が、留まりを知らずに古泉の唇までも浸食して濡らし、地に染みこみゆく。 古泉一樹は遠退く意識をそのまま手放す寸前、――真っ白に埋もれたなかに薄い影を見たような気がした。 ひとひら春の日に舞い降りる、それは、雪のように。
https://w.atwiki.jp/ln_alter2/pages/156.html
【名前】筑摩小四郎 【種族】人間 【性別】男性 伊賀組十人衆の一人。二十歳前後の田舎じみた若者、腰にものすごい大鎌をさしている。 彼の能力は何かを飛ばす事でも、何かを吹く事でもない。 彼の能力は「吸う事」である。 強烈な吸息で、少し離れた虚空に真空を生じさせる。 その真空に触れた者は「鎌鼬」に襲われたように肉が内部からはじけ出す。 以下、バトルロワイアルにおけるネタバレを含む 対応するregion、endregionプラグインが不足しています。対になるようプラグインを配置してください。 筑摩小四郎の本ロワにおける動向 初登場話 006 伊賀の散歩者 登場話数 3話 スタンス 対主催 現在状況 一日目早朝時点で死亡 現データ 059 ユケムリトラベル(下) 人類五名温泉宿の旅時点 キャラとの関係(最新話時点) キャラ名 関係 呼び方 解説 初遭遇話 薬師寺天膳 臣従 天膳様 伊賀組の実質的なリーダー 未遭遇 朧 臣従 朧様 伊賀組の頭首 未遭遇 甲賀弦之介 敵対 甲賀弦之介 甲賀組の次期頭首、元の世界で彼のせいで盲目になった 未遭遇 姫路瑞希 友好 姫路殿 高貴な身分と誤解。彼女を護衛 027 姫路に忍びあり 朝倉涼子 友好 朝倉殿 情報交換を行う、殺害された 059 ユケムリトラベル(上) 人類五名温泉宿の旅 北村祐作 友好 北村殿 情報交換を行う 059 ユケムリトラベル(上) 人類五名温泉宿の旅
https://w.atwiki.jp/terachaosrowa/pages/1228.html
「長門さん、今こそ真の長門になる時よ!」 朝倉は言った。 「真の……長門……?」 「そう、彼女達を吸収して一つの存在に戻るの」 「分かったわ」 消失長門は本家長門と暗黒長門の手を握る。 朝倉はそれを確認すると情報改変を開始。 ピカーッ! 眩い光を放ち、その光が覚めると一人の長門が立っていた。 【二日目・11時01分/幕張メッセ近く】 【真・長門@涼宮ハルヒシリーズ】 [状態]真の長門、殺意のコントロール可能 [装備]不明 [道具]不明 [思考]基本:アカギと朝倉についていく。殺し合いには乗らない。 【暗黒長門@ニコニコ動画 合身確認】 【長門有希@涼宮ハルヒシリーズ 合身確認】 【消失長門@涼宮ハルヒの消失 合身確認】 「あっ!!長門さんを一つにする前に2人の長門さんにあんなことやこんなことをしとけばよかった!!」 「アホか…。(ていうかアンタ縛ってる間に視姦してたろ…)」 【二日目・11時01分/幕張メッセ近く】 【赤木しげる@アカギ】 [状態]強運、神域、悪漢、多少の疲労、戦慄 [装備]刀 [道具]支給品一式 [思考]基本:ゲーム転覆。 1:同じく対主催の仲間を探し、準備が整ったら主催本拠に突撃。 2:目の前の混乱を収める。 3:戦闘後はとりあえず幕張メッセ前で様子を見る予定。 4:朝倉に呆れている 【朝倉涼子@ハルヒシリーズ】 [状態]多少の疲労、対有機生命体コンタクト用インターフェース、後悔 [装備]不明 [道具]支給品一式 [思考]基本:カオスロワを潰す 1:長門を守る。
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/3093.html
プロロ-グ 思い返せば俺の日常がおかしくなり始めたのは、何を思ったかあの時の俺がアイツに興味本位で話しかけてしまってからであった。 まったく、あの時の俺は何を考えていたんだろうね。朝比奈さんに頼んで時間遡行してあの時の俺を締め上げてハルヒとは関わるなと厳重注意してやりたい。 うん、いい考えだ。今日朝比奈さんに頼んでみよう。まあ朝比奈さんの上司である朝比奈さん(大)から許可が下りるとは思えないが。 まあこの一年間はアイツに振り回されっぱなしで本当に色々あったな。まあ今思えばいい思い出・・・じゃないやつもあるな。 それはそうと神の悪戯か何かか知らんが(そういえば古泉はハルヒのことを神と定義してやがったな)晴れて高校二年となった俺の所属しているクラスは悪玉菌の塊よりもたちの悪いものになっていた。 俺の心情を言うとハルヒと違うクラスになればちょっとは今までの行為がましになるだろうと期待していたのだがハルヒのことだしどうせ簡単にはクラスが離れることはないだろうという意味の分からん安心感も俺の真相意識の中では米粒ほどだがあったことは隠しきれない。 教師側はさぞこのクラスの担任を決めるのに労力を使ったことだろう。俺が教師側なら断固拒否するだろうからな。 ここいらでこの2年5組の所属メンバー説明をしておくと俺、ハルヒ、長門、古泉、谷口、国木田と昨年何らかの問題に関わっていたメンバー勢ぞろいである。 無駄知識に過ぎないが朝比奈さんと鶴屋さんも同じクラスになっているらしいことも付属しておこう。 我らが2年5組の担任は激しい議論の末(だと思う)今年新任という肩書きを意味もなく持っている神坂というやつだ。神坂さん・・・同情するぜ。 HR中自分の自己紹介だけをそそくさと終えると何を思ったのか神坂は「他のクラスは一列に机を並べているだろうが僕のクラスは男女二列で並べる。」等と言い出した。新任なら他のクラスにそろえるよう心がけないか?普通。郷に入っては郷に従えということわざを知らんのか。勘弁してくれ新学期早々。 「えー。で、だ。初日だが席替えをするここにくじがあるから一人づつ引いてくれ。」とか何とか言って箱を取り出した。教室入ってくるときそんなもん持ってたか? まあ愚痴を心の中でほざいてもむなしさが増大するだけでありここはくじを引くのが正道であるといえるだろう。 くじ引きの結果窓側の一番後ろになった。これで少なくとも一年のように後ろからハルヒのオーラを感じ続けるということにはならんだろう。 俺の前に座ろうと歩み寄ってきたのはスマイル君である。おいおいちょっと待て。この展開はヤバイとこの一年で得た俺の勘が騒いでいるぞ。 ・・・予想的中。なぜ悪い予感は颯爽と現れては100%の未来を告げて去っていくんだろう。 アリストテレスでも誰でもとにかく偉人なら誰でもいいからこの謎を解明してくれ。 古泉がこちらを見て肩をすくめながら苦笑して見せている。気色悪いからやめろ。 アイツがアヒルみたいに口を尖らせて近づいてくる。そんなに俺の隣が嫌ならお前の力で何とかすればいい。閉鎖空間を作るのだけは勘弁して欲しいところだ。おっと、わかっているとは思うが「アイツ」というのは他の誰でもない、そう、涼宮ハルヒだ。 ん?ハルヒは俺の隣じゃなく古泉の隣に座った。予想不的中。これで解明の必要は無くなったわけだ。とすると俺の隣は長門だろうか。 ・・・少ししてわかったことだが俺の隣は誰も座らんらしい。 長門はというと教室極東に位置する一番後ろに座っている。長門は自分の引いたくじを眺め俺をガラス細工のような眼でじっと見つめている。 その顔には長門にしては超大盛りの嫉妬と悔しさが浮かんでいるように見えた。まあデジャブだろう。 やれやれ。 今年もこの言葉の封印は俺にとってのSSランク任務になりそうだ。 「一年間よろしくお願いします。」と古泉。 「またあんたの近く?まああんたの後ろじゃないことだけが救いね。」とハルヒは呟いたがその顔は笑顔で輝いていた。 クラスのざわざわを見事に打ち消す咳払いをし神坂は「これも初日だが転校生を紹介する。入れ。」と、そこには俺の記憶にある人物とそっくりな人物が立っていた。 腰までたらした青い髪、スタイルのいい体、俺がそいつを見たとき脳内にそいつがナイフを振りかざして俺を殺そうとしている光景がフラッシュバックした。 美少女は「朝倉涼子といいます。一年間よろしくお願いします。」とか何とか自己紹介をしていたがそんなことはどうでもいい。 朝倉涼子? 一年の時急にカナダに引っ越した。というのは建前で真実を語ると長門に負けて砂のようなものになって消えたはずだ。 「空いている席はあそこだな。」朝倉は俺のほうに向かって歩いてきている。周りの連中(谷口、国木田などなど)が俺を冷やかす中、朝倉は俺の隣に座った。 「よろしくね。名前は・・・キョン君だよね。」一人くらい俺のことを本名で呼んでくれという欲求はこの際どうでもいい。なんでお前がここにいる。 「その話はまた後で、ね?」朝倉はパチリとウインクをした。「よろしく、朝倉さんだっけ?」話を途切れさせるのはいつもハルヒである。 おいハルヒ。何で朝倉を知らんのだ。一年の時に委員長だった朝倉涼子がいただろうが。 「誰よ、それ。一年の時は由良さんが委員長してたじゃない。」由良?そんなはずは、まで言いかけて思い出した。 そういえば朝倉を消した後長門が全員の記憶を朝倉が転校したものに修正したんだったな。とりあえず「そうだったか?」とか適当に言っておくことにする。 詳しいことは後で朝倉に聞くことにしよう。 もちろん今俺の前で頬ずえをついているハルヒに見つからないように、だ。 さて放課後のことである。 その日も俺は六限終了のチャイムとともに部室への階段を上っている。 なぜ俺がこんなに急いで部室に行こうとしているのかというと一言で言えば朝比奈さんが入れてくれたお茶を飲むためである。 今日の授業でも朝倉は俺の知っている朝倉となんら変わらない振舞いっぷりを見せており違うとこといえば「転校生」という肩書きを持っているせいでさらにちやほやされていることぐらいである。 だが俺の記憶の中の朝倉が重なってしまい俺の頭の中に大量のクエスチョンが発生している始末である。 それら大量の情報を処理できるのは長門くらいであり一応一般人である俺は錯乱状態のような心情に陥っている。 それを治すことができるのは万能薬である朝比奈印のお茶しかないというわけだ。 部室のドアをノックすると朝比奈さんの天使のような声が返ってくる、と思いきや淡々とした聞きなれた声の主が「入って。」と告げた。 確か俺が教室を出たときは長門はまだ教室にいたはずだが。長門は瞬間移動もできるのか?ますます万能選手だな。 ドアを開けると俺の予想していた光景とは900°ぐらいかけ離れた光景があった。ここで俺が予想していた光景を言うといつもの定位置でこの部室の置物と化している制服姿の長門が分厚いハードカバーを広げているというものだ。 しかし現実は違う光景を俺の網膜に映し出していた。自分の網膜の心配をしちまったほどだ。 そこには妖精のような朝比奈さんならぬ長門がメイド服もとい美しい堕天使のような格好でお茶を湯飲みに注いでいた。 何が起こっているんだ?そうか。また去年みたくエラーが蓄積したとかいうやつだな。 「違う。」俺の必死の解釈はわずか一秒足らずで崩れ去った。ん?でも今長門が「違う。」と答えた時の声が違ったような・・・じゃあこいつは誰だ? 「飲んで。」長門がお茶を差し出している。今の声は長門のそれだな。 「有機生命体よ。驚嘆の表情を浮かべているな。今から貴様にもわかる言語を選出し、話してやる。」明らかに動いているのは長門の口だが長門の声とは違う典型的なお偉方の声が俺の耳に届いた。 「今端末ヒューマノイドインターフェースに修正プログラムを入力している。じきに終了する。」とさっきの声の主。 十分くらい経っただろうか、不意に長門が「飲んで。」と再度お茶を差し出した。そういえば長門印のお茶を飲んでいなかったな。 長門のお茶は朝比奈さんのとは違うもののどこか心落ち着く優しい味わいがあった。 「おいしい?」 ああ。精神の劣化がおさまった感じだ。 俺はお茶をすすりつつ頭の中のクエスチョンを最新順に問にとしてみることにした。 「さっきまでの声は誰だ?」「情報統合思念体。」なぜかはっきりと感情が表れている声での長門の返答。 「端末ヒューマノイドインターフェースってのは・・・」「私。」 「修正プログラムってのはどういう代物だ?」「じきにわかる。」 「なぜそんな格好なんだ?」「・・・・・・」最後の質問意外は律儀に答えをくれた。 最後のにはどうして答えてくれないんだ?長門。長門は答えの代わりなのか顔を少し赤らめている。 どうかしたのか?さっきの答え方といい、今の反応といい、感情がむき出しじゃねーか。 この場を解決する救世主を待っていた俺の期待通りと言うべきか朝倉のご登場である。 が、朝倉の第一声は「キョン君に見てもらいたかったからよね?」である。 どうやら朝倉も俺の思っている救世主にはなってくれないようだ。 そんなはずはない。ないはずだがなぜか俺は賛否を問うため長門に視線をうつすと長門は小さくうなずいた。 おいおいマジなのか? 長門に対する疑問も多々残るところだがここは質問対象を朝倉に移すことにしよう。 「HRでの話の続きをしてもらおうか。何でお前がここにいるんだよ。朝倉。」「私もSOS団に入ったからよ。」 ふざけるな!といいたいところだが今ほじくるべきはそこではない。 「この世界にってこと?」そういうことだ。 「そうね~。簡単に言うと私はこの世界で長門さんに消されたわよね?」ああ。確かに俺のこの目で見た初めての電波話だったからよく覚えている。 「でも今の私はその私が再構築した姿ではないわ。一度消された人はもう戻らないもの。」フフフッと含み笑いしながらの朝倉である。 「私はこの世界とは別の世界から来た朝倉涼子よ。」「そんなはずは無い。世界が同時に多数存在することはどんな理論を使っても証明不可能。」 答えたのは長門である。 「じゃあ証明してあげるわ。キョン君あなた彼女いる?」は?いるわけねえだろうが。SOS団なんていう意味不明組織の活動につき合わされている状態で彼女を作る余裕がどこにある? どうせフリー状態でもいないだろうがな。 「長門さん。今のキョン君は嘘をついていた?」意味不明な問いである。 「真実を述べていた。」「これが証明よ。だって私が前いた世界ではキョン君は私と付き合ってたもの。」 「そのことに対する証明が無い。今あなたが嘘をついている可能性もありうる。」「疑り深いわねえ。いいわ。これを見て。」 朝倉がポケットから出したのは財布である。 そこには一枚の写真が入っていた。おかしいぞ。朝倉と男が並んでむかつくほど幸せそうに写っている。 その男は毎朝俺が鏡の中で見ている顔と酷似している。っていうかまんま俺じゃねえか。 「キョン君はこの写真取った覚えなんか無いわよね。」あるはずが無い。 そんなものがあったら俺は精神障害者か本当に心が錯乱状態に陥っている変態だ。 「証明はこんなぐらいで十分でしょ。」ちょっと待て。仮にお前が異世界から来たってのも信じるとしよう。じゃあどうやって来たんだ? 「涼宮さんの力を増幅して使わせてもらったわ。上からの命令でこっちに来て長門さんの修正プログラムの様子を見なくちゃいけないの。」 俺の脳裏に朝倉に刺された瞬間が再びフラッシュバックした。 「そんなに怖がんないでよキョン君。心配しなくても情報操作能力は世界移動の時に消えてるわ。今の私は異世界人っていう肩書きを持ったただの女子高生。」 それを本当だと仮説して最後の質問だ。修正プログラムってのは何だ? 「修正プログラムっていうのは私にはあって長門さんには無い心のプログラムのことよ。」 朝倉に刺された記憶を忘れることは出来ないがここには長門がいるし今の顔を赤らめている長門を見るとどうも嘘をついているとは思えんので信じるとしよう。 その会話を境にしばらくの沈黙が続いた。が、いつもと違い全く退屈しなかった。 普段と服装も仕草も違う外見同一少女を観察していたからだ。 そういえばいつぞや似たようなことがあったな。 「いやー。遅れた遅れた。」遠足前日の小学生のようなハイテンションを伴い団長ハルヒのご登場である。 「あれ?みくるちゃんと古泉くんまだなのね。」 ひとしきり部室観察を終えたハルヒは「涼子も来たのね。よしよし。」自分の仕掛けた罠に猪がかかった狩人のような表情である。 と、ついにハルヒの目が俺に観察されてすっかり赤くなったアンティーク少女を捕らえた。 「ちょっと有希!どうしたのよその格好!」これにはハルヒも驚いたご様子、ではないようだ。 「いやー。みくるちゃんもいいけど有希がそんな格好するのもいいわー。」ハルヒ曰く普段目立たない長門がこんな格好をすると相当な萌えらしい。 オヤジ的感覚なハルヒだが今回ばかりは全面的に同意させてもらいたい。 今度から有希もコスプレさせようかしらなどと言いながら長門観察に夢中のハルヒである。 当の長門はというとハルヒ用にお茶お注いでいた。とうとう俺達の部活にもメイドさんが二人になったというわけだ。 二十分ほど遅れをとり古泉と我が部活専属メイド第一号が入ってきた。 「遅れてすみません。先生に呼び出されてしまいましてね。」言い訳+謝罪の古泉とは打って変わり「ごめんなさい。」と謝罪オンリーの朝比奈さんである。 朝比奈さんは誤らなくていいんですよ。こんな団に遅れたくらいで謝る必要性はこれっぽっちもありません。 「全員揃ったところでSOS団ミーティング始めるわよ!」ミーティングというよりはハルヒ独断で決めるのだから団長命令の方がしっくりくるのではないか? ハルヒは朝比奈さんにホワイトボードになにやら書くよう命じたようだ。 「今度の日曜に市内パトロールをするわ。」またか。去年の経験を生かして今年は一度もして欲しくなかったんだが。 「黙りなさい。ようは継続よ。継続は力なりって言うじゃない。ということで駅前九時集合ね。今日はこれで解散。」 この世にマイペースを取り締まる法律があればハルヒは一生牢の中だ。 長門が本を閉じると「帰る。」の合図なので全員は帰りじたく(といっても鞄を持つだけだが)をして部室から出ようと動き出した。 前に進もうとしたはずだが不意にストップの抗力が体中に働いた。 「帰ろう。」 振り向くと長門が俺の袖をそっと掴んで立っている。わかってるって。 今帰ろうとしてる・・・そこまで言いかけて長門の二言目に打ち消された。 「一緒に。」 ははあ。そういうことか。この辺が修正プログラムの効力ってやつだな。これでパンクしそうな頭の中のクエスチョンがさらに一つ減った。 結局は長門と朝倉の三人で下校した。 どうやら朝倉の住宅は前と同じらしい。下校中長門は朝倉の方を向いては何で付いて来るのといった表情で不機嫌そうに朝倉を睨んでは俺に微笑んでいた。 しみじみ思うことが一つ。 実に便利な世の中になったものだ。 なぜかって?決まってるじゃないか。こんなに長門の表情を読むのが簡単になったんだからな。 朝倉とその他の陰謀 第一章 へ